クーリングオフ通知の書き方と注意点【ひな形付き】

訪問販売などで契約した後に「やっぱりやめたい」と思ったとき、一定の条件を満たせば、理由を問わず契約を解除できる制度がクーリングオフです。ただし、対象の取引かどうか、期間の数え方、通知の方法を間違えると、この権利を使えなくなるおそれがあります。この記事では、通知書の書き方と注意点を行政書士の立場から整理します。

目次

まず確認すること

  1. その契約が、クーリングオフの対象取引か
  2. 契約書面 (法定書面:申込みの撤回や契約解除に関する事項が書いてある書面)を受け取った日はいつか
  3. 期間内に、記録が残る方法で通知したか

クーリングオフの対象になる取引

店舗で商品を買った場合や、通信販売で注文した場合には、この制度は使えません。対象は、次のような取引です。

  • 訪問販売 (キャッチセールスやアポイントメントセールスを含む)、電話勧誘販売、特定継続的役務提供(エステ、語学教室、学習塾など)、訪問購入は8日間
  • 連鎖販売取引 (マルチ商法)、業務提供誘引販売 (内職商法・モニター商法)は20日間

根拠となる条文は、訪問販売が特定商取引法9条、電話勧誘販売が特定商取引法24条とされています。

対象外になる主な例

  • 自分から店舗に出向いて購入した場合や、通信販売のように不意打ち性のない取引
  • 3千円に満たない現金取引や、消耗品の使用済み部分
  • 自分から業者に自宅への訪問を求めた場合も、原則として対象外 (適用除外)とされています。ただし、何でも「請求訪問」になるわけではなく、個別の事情で判断が分かれます。迷う場合は、自己判断で諦めず、消費生活センターや弁護士へ相談してください。通知書の作成が必要な場合は、当事務所でもお手伝いします。

期間の数え方

期間は、契約書面を受け取った日から数えます。数え方は、法定書面を受け取った日を含めて8日間 (または20日間)です。契約した日ではありません。

例えば、1月20日に書面を受け取った場合、20日が1日目です。

事業者がクーリングオフについて嘘を言ったり妨害したりした場合や、契約書面に不備がある場合は、期間が過ぎていてもクーリングオフできる場合があります。期間が過ぎたからと、すぐに諦める必要はありません。

通知の方法と、効力が生じる時期

通知は、書面 (ハガキで可)または電磁的記録 (メールなど)で行います。発信したことを証明できるよう、書面なら特定記録郵便や簡易書留を使い、内容証明郵便でも構いません。

消費者庁のガイドは、書面の場合は特定記録郵便・書留・内容証明郵便などでの通知を薦めています。電磁的記録の場合は、送信メールの保存や、専用フォームの画面のスクリーンショットなど、証拠を残すことが望ましいとしています。

期間内の消印があれば有効とする案内も、公的色の強い団体から出されています。通知が期間内に発信されていることが重要なので、期限ぎりぎりではなく、余裕をもって出しましょう。

証拠を残すコツ

  • ハガキの場合は、表と裏の両面をコピーして保管する
  • 郵便局の受領証や追跡番号を残す
  • メールで通知する場合は、契約書に通知先や通知方法の記載があれば、それに従う
  • 電話だけで伝えるのは避ける (記録が残りません)

クレジットで支払った場合は、販売会社だけでなく、クレジット会社にも通知を出す必要があります。

通知書に書く項目

契約の年月日、販売業者名、担当者名、商品・サービスの名称、契約金額、契約者の氏名と住所を記載します。あわせて、「契約を解除する」という意思をはっきり書きます。

ひな形

通知書

令和◯年◯月◯日

〔事業者名〕 御中
〔担当者名〕 様

私は、下記の契約について、特定商取引法に基づき、
本書面をもってクーリング・オフ(契約の解除)を通知します。

契約年月日:令和◯年◯月◯日
商品名(工事内容):〔                    〕
契約金額:◯◯円
支払済金額:◯◯円
書面を受け取った日:令和◯年◯月◯日

つきましては、支払済みの代金◯◯円を、下記口座にご返金ください。
〔返金先口座〕

〔住所〕
〔氏名〕 印

※ 取引の種類 (訪問販売・電話勧誘販売など)や契約内容に合わせて調整してください。ひな形はあくまで一般的な構成です。

よくある失敗

  • 期間を「契約日」から数えてしまう
  • 電話や口頭だけで伝え、証拠が残らない
  • 通知書の控えを取らない
  • クレジット会社への通知を忘れる
  • 書面に不備があるのに気づかず、「期限切れ」と思い込んで諦める

リフォーム・工事契約で特に注意すること

訪問販売で契約した住宅リフォームは、クーリングオフできる場合があります。工事が始まっていても、諦める必要はありません。

  • クーリングオフを行うと、契約の効力がなくなり、損害賠償や違約金の支払義務は生じません。事業者は代金を返す義務を負い、提供済みのサービスの費用も請求できないとされています。
  • 工事によって建物などの状態が変わった場合は、事業者に無償で原状回復を求められます。

一方で、自分から業者を呼んだ場合や、事業のための契約 (営業目的の工事など)は、対象外になる可能性があります。

現場の経験から


建設・リフォーム業界では、今でも契約書を作らず、見積書と口約束だけで工事を請け負う業者を目にします。こうした契約でも、ご自身が業者を呼んだのではなく、訪問を受けて契約した場合は、訪問販売としてクーリングオフの対象になることがあります。さらに、法定書面が交付されていない (または記載に不備がある)場合は、契約から8日を過ぎていても解除できる可能性があります。「もう期間が過ぎた」と自己判断で諦める前に、契約の経緯と受け取った書類を確認してください。

行政書士に相談できること

当事務所では、通知書の作成や書き方のご相談をお受けしています。契約書面の内容を一緒に確認し、期間の数え方を整理したうえで、書面を作成します。

なお、事業者との交渉や代理は、法律上の制限があるため、当事務所ではお受けできません。 交渉が必要な場合や、紛争性が生じている案件には、信頼のできる提携弁護士をご案内します。まずは、お住まいの消費生活センター (消費者ホットライン188)に相談する方法もあります。

最後に

「期間の数え方が分からない」「通知書の内容を確認してほしい」という方は、すみれ法務事務所へご相談ください。

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