「所有している土地や家を売りたいのですが、宅建業免許は必要ですか?」
これは、宅地建物取引業についてご相談を受ける際によく出てくる疑問の一つです。
結論からいうと、
自分が所有している不動産を売ること自体に、直ちに宅建業免許が必要になるわけではありません。
一方で、土地や建物の売買を「業として」行う場合には、宅地建物取引業の免許が必要になります。
では、「業として」とは何なのでしょうか。
ここが宅建業免許を考えるうえで重要なポイントです。
そもそも宅建業とは?
宅地建物取引業法では、宅建業について、宅地・建物の売買や交換、または売買・交換・貸借の代理・媒介を「業として」行うものとしています。
少し難しいので、簡単にいうと、
不動産の取引を、反復・継続して事業として行う場合には、宅建業免許が必要になる可能性がある
ということです。
ここで注意したいのが、「1回なら必ず免許不要」とは言い切れないことです。
判断には、取引の対象や目的、反復継続性など、具体的な事情が関係します。
免許が不要なケース
- 自宅や相続物件の売却:自分が住んでいた家や、相続した不動産を1回だけ売る場合。
- 単発の所有地売却:自分が持っている土地や建物をそのまま1回売却する場合。
1回でも免許が必要になる(違反になる)ケース
回数が「1回」であっても、次のような場合は「業(事業性・反復継続性)」とみなされ、無免許営業(宅建業法違反)として摘発されることがあります。
- 一筆の土地を分割して複数人に売却(分譲)する:1回の売買契約ではなく、複数人に分けて売る場合。
- 最初から転売・利益目的で取得して販売する:不特定多数へ売り込む目的や、事業としての意思がある場合。
厳しい無免許の罰則もあります。
- 個人:3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金
- 法人:1億円以下の罰金
そのため、「一度しか売らないから大丈夫」と自己判断するのは危険です。
「宅建士の資格」と「宅建業免許」は別物です
ここも非常によく混同されます。
「宅建士の資格を持っているから、自分で不動産を売買する仕事ができる」
というわけではありません。
宅建士は「人」の資格。
宅建業免許は「事業者」に対する免許です。
宅建業を営む場合には、宅建業者として免許を受ける必要があり、さらに事務所には専任の宅地建物取引士を置くなどの制度があります。
つまり、
宅建士資格を持っていることと、宅建業を営めることは別問題です。
リフォーム会社が中古住宅を買って販売する場合は?
ここは特に注意が必要です。
例えば、
中古住宅を購入
↓
自社でリフォーム
↓
リフォームした住宅を販売
という事業を考えたとします。
「自社でリフォームするのだから建設業の仕事では?」
と思われるかもしれません。
しかし、リフォーム工事と不動産の売買は別の制度です。
建設業許可があるからといって、それだけで宅建業を営めるわけではありません。
不動産の売買を事業として行うのであれば、宅建業免許について検討する必要があります。
これは、工務店、リフォーム会社、建設会社が事業を拡大するときに特に注意したいポイントです。
「宅建業免許が必要か」は、単純な回数だけでは判断できません
宅建業免許が必要かどうかを考えるとき、
「1回だから大丈夫」
「2回売ったからアウト」
というように、単純に回数だけで判断するのは適切ではありません。
例えば、
- 何を売るのか
- 誰が売るのか
- どのような目的で取得したのか
- 反復継続しているのか
- 事業として行っているのか
など、具体的な事情を確認する必要があります。
そのため、
「この程度なら免許はいらないだろう」と自己判断する前に、自分の予定している取引が宅建業に該当するのか確認することが重要です。
宅建業免許が必要か迷ったら
宅建業免許の申請を考える前に、
「そもそも自分の事業に宅建業免許が必要なのか?」
を確認することが先です。
免許が必要なのに取得しないまま宅建業を営めば、宅建業法上の問題となります。
反対に、必要性の判断が難しい段階で、いきなり法人設立や事務所の準備を進めるのも効率的ではありません。
宅建業を始めるなら、まず「免許が必要な事業なのか」「どの免許が必要なのか」「個人と法人のどちらで行うのか」を整理することから始めましょう。
すみれ法務事務所では、宅建業免許に関するご相談から、申請に必要な事項の確認、書類作成・申請手続まで対応しています。
