前回の記事では、2026年4月に施行された改正区分所有法と、2025年10月に見直された「標準管理規約」(国が示す規約のひな形)を踏まえて、管理規約のどこを見直すべきかを整理しました。
今回は一歩進んで、「その見直し作業を、自分たちの管理組合だけで進められるのか。それとも専門家に頼んだほうがいいのか」という、より実務的な疑問について考えてみます。
自分たちだけで見直しを進めることの難しさ
管理規約の見直しでまず難しいのは、「強行規定」と「任意規定」の区別です。強行規定とは、法律の方が管理規約よりも優先され、規約に何と書いてあっても効力を持たないルールのことです。一方、任意規定は、管理組合が実情に合わせて自由に決められる部分を指します。
改正区分所有法では、この強行規定にあたる部分が増えました。つまり、「規約を変えていないから今まで通り」とは言えない条文が出てきているということです。どの条文が強行規定にあたり、自分たちの管理規約のどの部分と矛盾しているのか。この切り分け作業には、条文と実際の規約を一つずつ照らし合わせる地道な作業が必要になります。
管理組合の理事は、多くの場合、輪番制で1年ごとに交代するボランティアです。専門知識を蓄積する時間も、条文を読み込む時間も限られているというのが実情ではないでしょうか(この点は管理組合ごとに差があり、一律にあてはまるとは限りません)。
専門家への相談を考えたほうがいいサイン
以下のような状況にひとつでもあてはまる場合は、専門家への相談を検討する価値があります。
- 管理会社から「新しい標準管理規約にあわせて全面改定しましょう」と提案されたが、自分たちの規約とどこが違うのか判断できない
- ペットの飼育ルール、民泊(住宅を宿泊施設として貸し出すこと)の可否、駐車場の使用方法など、そのマンション独自のルールが多く、ひな形をそのまま当てはめられない
- 過去に規約違反や住民トラブルがあり、今回の見直しでその再発を防ぎたいと考えている
- 総会に向けて、反対意見が出た場合の説明にも耐えられる資料を用意したい
こうした状況にひとつでもあてはまる場合、管理組合内だけで判断を進めるよりも、早い段階で専門家の視点を入れておいたほうが、総会での説明や合意形成がスムーズに進みやすくなります。
専門家に依頼すると、具体的に何をしてもらえるのか
行政書士やマンション管理士に管理規約の見直しを依頼した場合、一般的には次のような支援を受けられます。
- 現行の管理規約と、改正法・新しい標準管理規約との新旧対照表の作成
- 強行規定に反している(効力を失っている)条文の洗い出しと、改定案の提示
- 総会で使う議案書・説明資料のたたき台作成
- 理事会や総会で想定される質問への事前の備え
一点お伝えしておきたいのは、住民同士の対立や訴訟に発展しているようなケースは、弁護士の専門領域だということです。規約の見直し作業の中でそうした深刻な対立が見えてきた場合、私は無理に自分だけで抱え込まず、信頼できる弁護士と連携する形でご案内しています。
誰に相談すればいいのか
管理規約の見直しに関わる専門家には、いくつかの立場があります。
- マンション管理士:管理組合の運営そのものに関する相談・助言を行う専門家
- 行政書士:規約や議事録など、公式な書類の作成を専門とする資格
- 管理会社:日常の管理業務を受託している立場だが、規約改定の提案元であることも多く、第三者としての視点とは性質が異なる
私自身は行政書士とマンション管理士の両方の資格を持っているため、「規約の中身が法律的に妥当か」という判断と、「総会に出せる書類として仕上げる」という作業を、一貫してお手伝いできます。
まとめ
改正区分所有法への対応で管理規約を見直す作業は、強行規定・任意規定の切り分けや、独自ルールとの整合性確認など、思った以上に地道な作業の積み重ねです。管理会社の提案をそのまま受け入れるべきか判断がつかない場合や、独自ルールが多く標準管理規約をそのまま当てはめられない場合は、自己判断だけで進めるのではなく、専門家の視点を入れて進めることをおすすめします。
専門家からの一言
管理規約の見直しは、「法律が変わったから慌てて全部書き換える」ものではなく、自分たちのマンションに本当に必要な部分を見極める作業だと感じています。行政書士とマンション管理士、両方の視点から、規約の中身と書類の両方をお手伝いできるのが私の強みです。まずは現状の規約を一緒に確認するところから、お気軽にご相談ください。
