2025年3月、首都圏のマンション大規模修繕工事をめぐり、施工会社約20社に公正取引委員会の立ち入り検査が入りました。(出典1)2026年6月には施工業者36社と設計コンサルタント2社の独占禁止法違反が認定される方針が固まり、そして(出典2)2026年7月28日、ついに東海地方(愛知・岐阜・三重)でも同様の疑いで20数社に立ち入り検査が実施されたと報じられています。
出典1:さくら事務所「マンション大規模修繕の談合、約40社に排除措置命令へ。管理組合が今すべきこととは」(2026年6月15日更新)
出典2:毎日新聞「東海でもマンション修繕談合か 公取委が計28社を立ち入り検査」(2026年7月28日)
「うちのマンションのコンサルは信頼できる会社だから大丈夫」——そう思っていませんか。実はこの一連の事案では、業者だけでなく、本来は管理組合の”味方”であるはずの設計コンサルタントまでもが関与を認定されています。
なぜ談合は起きるのか——コンサルの「一人二役」問題
大規模修繕の多くの現場では、以下の2つの業務が、同じコンサルタント1社にまとめて委ねられています。
・設計監理 : どんな工事を、どんな仕様でやるかを決める
・コスト監査 : その見積り金額・単価が妥当かをチェックする
本来この2つは、お互いを牽制し合う「別の目」が必要な業務です。ところが1社が両方を担うと、チェック機能が働かなくなります。仕様を決める人と、その金額の妥当性を判断する人が同一であれば、「高めの見積りでも、決めたのは自分だから問題ない」という状態が生まれやすくなるのです。これが、談合やリベートが入り込む構造的な隙になっています。
解決策はシンプルです——役割を分ける
| 役割 | 担当すべき専門家 | 主な仕事 |
|---|---|---|
| 設計監理 | 建築士 | 工法・仕様の妥当性を判断する |
| コスト監査 | 建築施工管理技士 | 見積り単価・数量の妥当性を、現場感覚で検証する |
意匠や法規に強い建築士と、現場のコスト感覚・積算実務に強い施工管理技士。この2つの専門性を別主体に分けるだけで、単独の判断で高値誘導される余地が大幅に減ります。
なぜ「施工管理」と「管理組合運営」、両方の視点が必要なのか
設計コンサルタントの多くは建築士資格をベースにしており、意匠・法規には精通していても、実際の施工現場でどのくらいの単価・工期が妥当かという「現場のコスト感覚」までは持ち合わせていないケースが少なくありません。ここが、業者側に付け込まれやすいポイントです。
建設業の現場を知る視点が入ることで、「この単価は市場相場から見て妥当か」「この数量拾いは水増しされていないか」「追加工事が発生しやすい箇所はどこか」を、数値と実務経験に基づいて検証できるようになります。
加えて、コスト面の妥当性だけを見ても、それが管理組合の総会・理事会できちんと合意形成され、運用ルールとして定着しなければ意味がありません。マンション管理士としての知見を組み合わせることで、「単価が妥当かどうか」の検証にとどまらず、「その検証プロセス自体を、組合員全員が納得できる形で仕組み化する」ところまで一貫してサポートできます。
費用の透明性についても
コスト監査を依頼する専門家を選ぶ際は、その報酬体系も必ず確認してください。工事金額に連動する成功報酬型ではなく、定額制であること、そして施工会社・設計コンサルタントいずれからも紹介料等を受け取っていないことが、中立性を担保する最低条件です。工事の規模が大きくなるほど自分の利益も増える契約形態では、結局「工事は必要」という結論に誘導されやすくなってしまいます。
まとめ : 今、確認すべきこと
・御社の大規模修繕は、設計監理とコスト監査が同一主体に一括発注されていませんか
・コンサルタントの報酬体系は、工事金額に連動していませんか
・見積り比較の際、単価・数量の妥当性を専門的に検証する第三者は入っていますか
これらに一つでも不安がある場合は、早めに専門家へご相談されることをお勧めします。
大規模修繕の見積り、そのまま進めて大丈夫ですか?
現在検討中の見積り内容について、建設業界での現場経験とマンション管理士の視点から、コストの妥当性検証と、それを踏まえた管理組合内の合意形成まで、あわせてセカンドオピニオンをご提供しています。まずはお気軽にご相談ください。
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