宅建業免許の取得要件とは?個人・法人別にわかりやすく解説

目次

宅建業免許とは何か

不動産の売買や賃貸の仲介などを「業」として行うには、宅地建物取引業法に基づく免許が必要です。これを宅建業免許と呼びます。自分が所有する不動産を自分で貸し出す、いわゆる大家業には免許は不要ですが、他人の不動産売買を仲介したり、不特定多数を相手に反復継続して取引を行ったりする場合は、免許なしで営業することはできません。

免許には「知事免許」「大臣免許」の2種類があります。事務所を1つの都道府県内にのみ設置する場合は、その都道府県知事の免許(知事免許)。事務所を2つ以上の都道府県にまたがって設置する場合は、国土交通大臣の免許(大臣免許)が必要になります。新規開業の場合は、まず知事免許からスタートするケースがほとんどです。

宅建業免許の取得要件【全体像】

宅建業免許を取得するためには、大きく分けて次の4つの要件をクリアする必要があります。

第一に、事務所要件です。営業の本拠として認められる独立した事務所を備えていなければなりません。第二に、専任の宅地建物取引士を設置していること第三に、欠格事由に該当しないこと。そして第四に、営業保証金の供託、または保証協会への加入という資産要件です。

ひとつずつ、もう少し詳しく見ていきましょう。

事務所要件のポイント

宅建業を営む事務所には、「独立性」が強く求められます。具体的には、他の法人や他業種と同じ部屋を共用しているような状態は、原則として認められません。パーテーションなどで明確に区切られ、専用の出入口があり、他の事業者の動線と交わらないことが基本的な条件になります。

特に注意したいのが、自宅の一室を事務所として使うケースです。居住スペースと完全に独立した動線が確保されているか、生活感のある空間を通らずに事務所部分へ出入りできるか、といった点が審査でチェックされます。現場を10年以上見てきた立場から言うと、「玄関を入ってすぐ事務所、その奥が居住スペース」という間取りであれば比較的スムーズですが、「リビングを通らないと事務所に行けない」という間取りだと、要件を満たすために間仕切り工事が必要になることも珍しくありません。開業前の段階で一度、事務所として使う予定の物件を確認しておくことをおすすめします。

専任の宅地建物取引士について

宅建業を営む事務所には、業務に従事する者5名につき1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を設置しなければなりません。(宅建業法第31条の3、施行規則第15条の5の3)。例えば従業員が3名であれば1名、6名であれば2名が必要、という考え方です。

ここでいう「専任」とは、その事務所に常勤し、専ら宅建業に従事している状態を指します。そのため、他の会社で正社員として勤務している人や、別の事業を本業として行っている人を専任の宅建士として登録することはできません。家族経営や小規模な開業の場合、代表者自身が専任の宅建士を兼ねるケースが多く見られます。

欠格事由に該当するケース

申請者(法人の場合は役員も含む)が、過去に宅建業の免許取消処分を受けてから5年を経過していない場合や、禁錮以上の刑に処せられてから5年を経過していない場合などは、免許を受けることができません。これは申請者本人だけでなく、法人の役員全員、政令で定める使用人についても審査の対象になります。

過去に何らかの行政処分や前科がある場合は、自己判断で「ダメだろう」と諦める前に、一度専門家に状況を整理してもらうことをおすすめします。事案によっては要件をクリアできるケースもあります。

個人で開業する場合と法人で開業する場合の違い

個人事業主として宅建業免許を取得する場合、開業の手続きそのものは比較的シンプルで、初期コストも抑えられます。一方で、事業を拡大して従業員を増やしたり、将来的に事業承継を考えたりする場合は、法人としての開業が向いています。

すでに建設業など別の事業を法人で営んでいる方が、新たに宅建業を始める場合は、既存の法人の事業目的に「宅地建物取引業」を追加してから申請するケースが一般的です。定款の事業目的が宅建業を含んでいない場合は、定款変更の手続きも合わせて必要になります。

宅建業免許取得までの流れ

申請にあたっては、事務所の写真や賃貸借契約書の写し、専任宅建士の資格証明書、法人の場合は登記事項証明書や決算書類など、多くの書類を揃える必要があります。書類を提出してから免許が交付されるまでの期間は、知事免許の場合でおおむね30日から60日程度が目安です(都道府県によって差があります)。

書類に不備があると、その分だけ審査期間が延びてしまいます。特に事務所要件に関する書類は、写真の撮り方ひとつで指摘が入ることもあるため、事前に行政書士に相談しながら準備を進めると、結果的にスムーズです。

まとめ

宅建業免許の取得には、事務所要件、専任の宅地建物取引士、欠格事由、資産要件と、確認すべきポイントが多岐にわたります。特に事務所要件は、物件選びの段階から関わってくる部分でもあり、図面だけでは判断がつきにくいケースも少なくありません。

すみれ法務事務所では、現場経営10年以上の経験を踏まえ、事務所として使える物件かどうかの見極めから、書類作成、申請手続きまで一貫してサポートしています。宅建業免許の取得をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

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