「行政書士とマンション管理士、どちらが難しいですか?」という質問について
こちらのサイトの中で今いちばん読まれているのが、行政書士とマンション管理士の両方の資格を持つに至った経緯を書いた自己紹介記事(こちら)です。そして、その記事にたどり着く方の多くが「行政書士 マンション管理士」という言葉でGoogle検索をされていることが分かりました。さらに検索結果を見ていくと、「行政書士とマンション管理士ではどちらが難しいですか?」という質問が、関連する質問として表示されていました。実際二年続けて両方の試験を受けた身として、正直な感想を書いてみたいと思います。
一般的には「行政書士の方が難しい」と言われている
行政書士試験もマンション管理士試験も、国家資格の中ではぎりぎり難関とされる部類に入ります。世間的には、行政書士の方が難易度が高いと言われることが多い印象です。ただ、これはあくまで一般的な評判であり、私自身の体感とは少し違いました。その理由は、両者の「合格の決まり方」の違いと、一点の重みにあります。
行政書士は「絶対評価」、マンション管理士は「相対評価」
行政書士試験には、合格するために超えなければならない3つのラインがあります。法令科目で122点以上(50%)、基礎知識科目(かつての一般知識科目にあたる部分で、政治・経済・情報通信・文章理解などが出題されます)で24点以上(40%)、そして総合得点で180点以上(60%)です。
この基礎知識科目の基準を下回ると、他の科目がどれだけ良くても不合格になります。これを「足切り」と呼びます。この足切りは受験生としてはかなり怖い制度ですが、逆に言えば、この3つのラインさえ超えれば、その年に何人合格していようと関係なく合格できます。(行政書士試験は「絶対評価」で、合格者数に上限がありません。)
一方、マンション管理士試験は50問すべてが1問1点の一発勝負で、科目ごとの足切りはありません。ただし、合格ラインはその年の受験者全体の出来次第で決まる「相対評価」で、直近の数年間だけを見ても34点〜42点(50点満点)の間で毎年変動しています。つまり、試験を受けている最中は、自分が何点取れば合格なのか分からないまま解き続けることになります。
上位5%のはずが、合格最低点+3点、しかもまぐれだった話
私自身、マンション管理士の模試では上位5%をキープした状態で本試験に臨みました。それでも、蓋を開けてみれば結果はその年の合格最低点に3点上乗せした合格でした。最後まで自信の持てなかった問題を2つか3つ拾えていたおかげがあったので、何とか超えられたラインだったと思います。少し運が悪ければ、模試の結果に関係なく落ちていたかもしれません。この「一点の重み」と「合格ラインが試験終了後にしか分からない」という不安感は、正直、もう一度は味わいたくないというのが本音です。
ただ、マンション管理士の場合、管理業務主任者試験に合格していることを条件に、試験全50問のうち「マンション管理適正化法」に関する5問が免除され、45問(試験時間が通常より10分短い110分)で受験できる制度があります。免除ありとなしでは、合格率も大幅に変わるということなので、その条件は考慮しなくてはならない点です。私の場合免除なしでした。
対して行政書士は、基礎知識科目の足切りこそ怖いものの、そのラインさえ超えてしまえば、もう一度受けても受かる自信はありました。自分の中でコントロールできている感覚があったのが、マンション管理士との大きな違いです。
個人的な感覚であることは、お断りしておきます
ここまで書いておいて言うのも何ですが、この感覚には私自身の経歴が影響している可能性があります。数年前に司法書士試験に挑戦した経験があり、民法についてはある程度得点できるところまで仕上げていました。行政書士試験でも民法の配点は大きく、しかも、行政書士のテキストでは習わなかった民法の中のマイナーなテーマが記述問題の1問に出ました。この論点は知っていたため、この下地が有利に働いた面は否めません。ですので、「行政書士とマンション管理士、どちらが難しいか」への私なりの答えは、あくまで自分の経験則としては「マンション管理士>行政書士」というものであり、誰にでも当てはまる一般論ではないことは、お断りしておきたいと思います。
まとめ
- 世間的には行政書士の方が難しいと言われることが多いが、これは絶対的な評価というより一般的な評判に近い
- 行政書士は「3つのラインを超えれば合格」という絶対評価、マンション管理士は「その年全体の出来で合格ラインが決まる」相対評価という、仕組みそのものが違う
- 私自身は、模試で上位5%を取りながらもマンション管理士の本試験では合格最低点+3点というぎりぎりの結果だった経験と、一点の重みがより大きいことから、体感としてはマンション管理士の方が大変だった
- ただしこれは司法書士試験での民法の学習経験なども影響した、あくまで個人的な感覚である
※合格基準点や合格率は年度によって変動します。本記事内の数値は執筆時点で確認できた公表情報に基づくものであり、最新の受験を検討されている方は、必ず各試験の実施団体(行政書士試験研究センター、マンション管理センター)が公表する最新の情報をご確認ください。
専門家からの一言
資格試験の難易度は、比べる相手や、その人がそれまで積み重ねてきた勉強の中身によっても、感じ方が大きく変わります。もしこれから行政書士やマンション管理士を目指される方がいらっしゃれば、「どちらが難しいか」という比較よりも、ご自身の得意分野やこれまでの勉強の蓄積との相性で選んでいただく方が、納得のいく結果につながるのではないかと思います。
